Ⅱ期工事では、大屋根を完成させるため、品川方の残りの大屋根について架け替えを行いました。工法についてはⅠ期工事と同様に、柱はリフトアップ工法を、大屋根は作業構台上で地組した立体トラス屋根を線路上空へ押し出すスライド工法が採用されました。
柱のリフトアップ工事を2016年10月から2017年2月に、大屋根スライド工事を2017年3月から2017年12月に実施しました。
また、長さ約95mに渡るⅠ期境界部との併合トラスも設置しました。
大屋根は3つのホーム全体を覆う形状となっています。
Ⅱ期工事範囲は品川方の一部大屋根(図面右下赤色部)です。
トラスの形状は下弦面を平板、上弦面は水勾配(3/100)を付けているため、トラスせいが約1.4m~2.0mの変デプスとなっています。
Ⅱ期工事は、柱はリフトアップ工法、大屋根は走行レールとなるスライドレール桁をスライドさせてから大屋根をスライドさせる二段階スライドという、Ⅰ期工事と同じ工法が採用されました。
Ⅰ期工事で開発した極小化されたリフトアップ装置を使用しても難しい箇所がありましたが、リフトアップ装置の高さを1段短縮し、リフトアップ回数を増やすことで対応しました。
Ⅱ期工事の柱は1列のため、走行レールも1列となり、安定して大屋根をスライドするためにはもう1列のスライドレール桁が必要となりました。
そのため、Ⅰ期工事で設置した大屋根の端部上弦材にスライドレール桁を取付けて2列にし、大屋根のスライドを行いました。
Ⅱ期工事では、作業構台の一部が本設化された事により施工スペースが狭くなっており、Ⅰ期工事のように構台上に大型の重機が配置できない状況でしたが、材料の揚重は前面道路に70tラフタークレーンを、建方は構台上に2.9tのミニクレーンを配置して行いました。
各スライド工事は地組するスペースが狭くなった為、Ⅰ期工事に比べてスライド回数が増加しました。
スライドレール桁スライド工事は、Ⅰ期工事と同様のシステムが採用されましたが、Ⅰ期工事に比べて柱間のスパンが長く、スライドする先端部の変形が大きくなるため、到達した柱側に乗り上げるように手延機先端部の形状を改良しました。
大屋根スライド工事もウィンチを使ったスライド装置が採用されましたが、スライド1回目、2回目については地組した大屋根の幅が狭い為、ウィンチ1組で押すことになりました。そこでスライドの直進性を確保するためガイド部に監視カメラを設置し、司令室でガイド位置を確認しながらスライドを実施しました。スライド3回目以降はⅠ期と同じくウィンチ2組を使用してスライドを行いました。
Ⅰ期品川方 | Ⅱ期 | |
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レール桁スライド | 9回 | 10回 |
大屋根スライド | 5回 | 7回 |
Ⅱ期大屋根トラススライド後、既に設置したⅠ期大屋根と長さ95mに渡ってトラス材で接合しました。 Ⅰ期側の大屋根は柱で支持された状態となっており、トラス先端でたわみが生じ、接合が施工上困難な作業になることが予想されたため、十分なスパン調整ができるように考慮して作業を行いました。