耐震診断

地震の被害

阪神淡路大震災の地震では、現行の耐震設計規準(新耐震設計1981年)により設計された建物が大きな被害を受けた例は非常にわずかで,大被害を生じた建物は,1981年以前(旧耐震設計)の建物でした。

接合部(D型)

被害の状況は、以下のようにランク分けされます。

ランク1 被害軽微
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柱・耐力壁・二次壁の損傷が軽微かもしくは、ほとんど損傷がないもの
ランク2 小破
2
柱・耐力壁の損傷は軽微であるが、RC二次壁・階段室のまわりにせん断ひび割れがみられるもの
ランク3 中破
3
柱に典型的なせん断ひび割れ、耐力壁にせん断ひび割れが見られRC二次壁・非構造体に大きな損傷が見られるもの
ランク4 大破
4
柱のせん断ひび割れ、曲げひび割れによって鉄筋が露出・座屈し、耐力壁に大きなせん断ひび割れが生じて耐力に著しい低下が認められるもの
ランク5 崩壊
5
柱・耐力壁が大破壊し、建物全体または建物の一部が崩壊に至ったもの

耐震改修促進法について

1981年以前に設計された建物の耐震改修の促進を図ることを目標として,1995年に施行されました。しかし,なかなか改修が進まない中に,2004年10月の新潟県中越地震,2005年3月の福岡県西方沖地震,同年7月の千葉県北西部地震,2008年岩手・宮城内陸地震の大地震が頻発し、大地震がいつどこで発生してもおかしくない状況にあるとの認識が広がりました。
さらに、東海地震、東南海・南海地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震及び首都圏直下型地震については、発生の切迫性が指摘され、ひとたび地震が発生すると被害は甚大なものと想定されています。 そこで,住宅及び特定建築物の耐震化率を平成27年までに90%を目標として、2006年に建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正施行されました。

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診断をお勧めする建物について

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建設年度

設計年度と建設年度がことなる場合は設計年度とする。

地形
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平坦地(良)
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崖下 斜面 崖上
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埋立地・沼地
経年劣化
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劣化がない(良)
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不同沈下・沈下・ひび割れ・剥離落下・鉄筋露出・鉄筋錆
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左記と同様
構造種別

同一構造:建物が同一の構造であるもの
混用構造:異なる構造で構成されているもの

構造形式

剛接構造:ラーメン構造(柱梁剛接構造)
壁式構造:鉄筋コンクリート壁式構造

ピロティ構造
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ピロティ柱(一部がピロティでも該当する)
立面形状 平面形
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整形(良)
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立面の段差
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吹き抜け
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セットバック
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高さの不揃い
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柱の偏在(一部ピロティ)
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平面形のずれ

耐震診断の流れ

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現地調査

  • コア抜き
  • コンクリート中性化調査
  • 鉄筋探査
  • 図面照合調査
  • 建物レベル調査
  • 積載荷重調査
  • コンクリート圧縮強度調査
  • 鉄筋調査(ハツリ出し)
  • 建物劣化調査(ひび割れ)
  • 仕上げ材調査(テストハンマー)

診断方法

1次診断

柱及び壁のコンクリート断面積からIs指標を概算します。

2次診断

比較的良く用いられる診断レベルで、柱及び壁のコンクリート断面と配筋量から終局耐力を精算し、Is指標を算定します。

3次診断

2次診断の計算に加え、梁や連層壁の終局耐力の計算を行い、Is指標を精算します。

Is値

Is値(構造耐震指標)とは,建物の耐震性能を現す指標です。

耐震性能(Is)=地盤条件(G,Z)×形状バランス(Sd)×強度(C)×粘り強さ(F)×経年変化(T)

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1995年の阪神淡路大震災(震度Ⅶ)では,Is値0.6以上で中波を超える被害は無かったことから,建築防災協会では補強目標をIs値0.6以上としています。

新耐震設計

建物の構造的強さをどのように造るかは、建築基準法・建築基準法施行令などの法律によって定められています。地震に対する建物の構造的な強さをどのように造るかも、これらの法律によって定められており、それらをまとめて「耐震基準」と呼んでいます。耐震基準は、大きな地震が発生する度に見直しが行われ、より合理的な耐震基準に改正されてきました(別紙参照)。現在の耐震基準は、1978年の宮城沖地震の後、1980年に定められたもので、以前の耐震規準と区別するために「新耐震基準」と呼ばれています。
この「新耐震基準」では、度々発生する強さの地震(震度V 弱以下)に対しては、建物への被害が軽度にとどまるように考えられています。しかし、建物の寿命の内に一度起こるかどうかという強さの地震(震度VI 強~VII )に対してはかなり違った考え方が成されています。すなわち、このような大地震に対しては、建物にある程度の被害が出てもいいが、建物内もしくは、周辺にいる人には被害が出ないようにすることを目標にしています。つまり「新耐震基準」の目標は、地震によって建物が壊れないようにすることではなく、「建物を使う人の安全を確保する」ことと言えます。
また、「新耐震基準」では、地震によって建物にかかる力の大きさの計算方法も変わりました。建物を設計する時に地震力を算定する場合に、地震時の建物の揺れ方の性質や建物の建っている地盤の性質を加味するようになりました。そのため、あらかじめ実際に建物に作用する地震力に近いものを算定して建物の設計を行う事が出来るようになり、旧耐震基準よりも正確に地震による力を見積もる事が出来るようになりました。
さらに、柱間寸法がばらばらであるとか、壁の位置が偏っていたり、壁の数が上下で大きく違うといった構造的にバランスの悪い建物は、地震の力を受けると変にねじれて壊れる事があります。そのため、新耐震基準では、ねじれが起こらないように建物全体のバランスを保って設計するという配慮もとられています。

建物の耐用年限中に2~3回発生する地震
(中地震)
建物の耐用年限中に1回発生するかもしれない地震
(大地震)
旧耐震基準 構造計算で確認 余力に期待
新耐震基準 構造計算で確認(健全) 構造計算で確認(倒壊せず)

耐震補強の3つの方法

建物の耐力を向上させる

・既存建築物の壁厚さを増したり、開口部に鉄筋コンクリート壁を増設することで、耐力と剛性を向上させます。

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  • 補強費が安い工法です。
  • 剛性バランス改善が容易です。
  • 採用実績が多い補強方法です。
  • 重量が増えるため、採用できない場合があります。
  • 開口に対して制約があります。
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靭性を改善する(ねばり強くする)

・既存建築物の開口部に鉄骨ブレースを設置することで、耐力とねばり強さを向上させます。

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  • 軽量で施工性がよい工法です。
  • 採光・換気・眺望確保が容易です。
  • コストは鉄筋コンクリート壁よりかかります。
  • 剛性は鉄筋コンクリート壁に比べ低くなります。
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・柱のねばり強さ(靱性)を改善するには、せん断補強やスリットの設置があります。

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  • 平面計画に影響が少ない工法です。
  • 比較的短工期ですみます。
  • 狭い場所でも工事が可能です。
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・その他の補強

接合部(D型)
柱増打ち補強、鋼板巻き補強

柱外周を補強することで、ねばり強さと圧縮強さを向上します。 ピロティ柱に有効な補強方法です。

接合部(D型)
繊維巻き補強

柱外周を補強することで、ねばり強さが向上します。 更なる短工期化に有効な補強方法です。

接合部(D型)
耐震スリットの設置

腰壁、たれ壁等に耐震スリットを設けて、変形性能を改善します。

建物の揺れを制御する

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  • 補強個所が少なくて済み、経済的です。
  • 補強個所が少ないので、外部だけの補強も可能です。
  • 既存建物の構造形式に左右されません。
  • 地盤、階数による制約を受けません。
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巴コーポレーションの制震工法

  • 大地震時の激しい建物振動を抑制することにより,建物の倒壊や著しい損傷を防止する制震工法が注目されています。
  • 巴コーポレーションの制震工法は高い剛性と高いエネルギー吸収性能を有する摩擦ダンパーにより,効率良く地震エネルギーを吸収して,建物の振動を抑制する工法です
  • 建物への作用地震力が大幅に低減されるので,既存建物の耐震補強にも威力を発揮します。学校施設(校舎,体育館),事務所ビル,病院,共同住宅などへの適用が可能です。

工法の特徴

  • 明快なシステムです。

    摩擦ダンパーを組み込んだ工法であり,S造,RC造共に適用可能です。

  • 剛塑性に近い履歴特性を示します。

    摩擦ダンパーは初期剛性が高く,履歴曲線はほぼ四角形を描くので,小振幅から効率良くエネルギー吸収します。

  • 建物を使用しながらでも補強が可能です。

    在来工法に比べて補強部位が少なくて済み,工期も短くなります。

  • メンテフリーです。

    摩擦ダンパーは,外面の防錆を除けば,基本的にメンテフリーです。

使用形態(例)

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摩擦ダンパーの履歴特性

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耐震実績はこちら

耐震実績

地震時の入力を低減できる摩擦ダンパーによる制震工法と、引張と圧縮共に対応できる座屈拘束ブレースによる補強工法を基本にして耐震診断、補強設計、施工に対応します。

建物概要

名称 建物概要 補強概要
構造 階数 延床面積
m2
工法 施工年
十文字中学・高等学校体育館 SRC 3F 3,340 制震ブレース
座屈拘束ブレース
H18年8月
船橋市福祉ビル RC 6F 1,385 制震ブレース H19年3月
大崎市立三本木小学校校舎 RC
3F 2,872 制震ブレース H19年8月
市川市立稲越小学校校舎 RC 3F 5,828 制震ブレース H19年10月
東金市立丘山小学校屋内体育館 S 1F 684 座屈拘束ブレース H19年10月
日の出町立大久野小学校体育館 S 1F 662 座屈拘束ブレース H19年11月
長島スパーランド 屋内こどもプール棟 S 1F 2,042 座屈拘束ブレース H20年4月
TDK健康保険組合体育館 S 1F 1,352 座屈拘束ブレース H20年5月
府中市立白糸台小学校校舎(1棟) RC 4F 3,326 制震ブレース H20年8月
府中市立白糸台小学校校舎(7棟) RC 3F 865 制震ブレース H20年8月
作新学院小学部校舎 RC 3F 2,713 制震ブレース H20年9月
作新学院高等学校総合進学部2号館 RC 3F 2,121 制震ブレース H20年9月
十文字学園女子大学3号棟 RC 4F 1,937 在来 H21年9月
船橋市立丸山小学校屋内体育館 S 1F 748 座屈拘束ブレース H21年11月
東金市立豊成小学校屋内体育館 S 1F 687 座屈拘束ブレース H21年12月
愛国学園大学付属四街道高等学校校舎 RC 4F 4,209 制震ブレース H22年3月
東金市立鴇嶺小学校屋内体育館 S 1F 846 座屈拘束ブレース H22年9月
東金市立福岡小学校屋内体育館 S 1F 638 座屈拘束ブレース H22年9月
下関市立岡枝小学校屋内運動場 S 1F 544 座屈拘束ブレース H22年12月
下関市立豊東小学校屋内運動場 S 1F 648 座屈拘束ブレース H22年12月
山梨市立日下部小学校屋内運動場 S 1F 835 座屈拘束ブレース H22年8月
山梨市立加納岩小学校屋内運動場 S 1F 893 座屈拘束ブレース H22年8月
新篠津村立新篠津小学校 普通教室棟(棟番号1) S 2F 1,979 座屈拘束ブレース H22年8月
新篠津村立新篠津小学校 管理棟
(棟番号2)
S 2F 999 座屈拘束ブレース H22年8月
新篠津村立新篠津小学校 屋内運動場棟(棟番号3) S 1F 711 座屈拘束ブレース H22年8月
十文字学園女子大学1号棟A RC 2F 2,130 在来 H22年9月
作新学院高等学校総合進学部本館 RC 4F 3,502 制震ブレース H22年9月
さくら市氏家体育館 S、RC 2F 2,692 座屈拘束ブレース H23年3月
豊富町立冑沼小中学校(校舎棟) S 2F 1,334 在来 H23年3月
豊富町立冑沼小中学校(体育館棟) S 1F 496 在来 H23年3月
作新学院高等学校英進部本館 RC 4F 5,126 制震ブレース H23年9月
船橋市立八木が谷北小学校屋内運動場 S 1F 807 座屈拘束ブレース H23年8月
船橋市立峰台小学校屋内運動場 S 1F 987 座屈拘束ブレース H23年8月
瀧上工業株式会社 東京本社ビル SRC 7F 1,093 在来 H23年2月
府中市立小柳小学校校舎 RC 4F 3,886 座屈拘束ブレース H23年8月
H24年8月
府中市立府中第四小学校校舎(17棟) RC 4F 825 在来 H23年8月
府中市立府中第四小学校校舎(4棟) RC 4F 3,869 制震ブレース H23年8月
H24年8月
府中市立府中第五小学校校舎(1-4棟) RC 3F 1,716 制震ブレース H24年8月
府中市立府中第五小学校校舎(4棟) RC 3F 1,009 制震ブレース H25年8月
府中市立住吉小学校校舎(1棟) RC 4F 5,084 制震ブレース H24年8月
H25年8月
府中市立府中第八中学校校舎(1棟) RC 4F 3,333 制震ブレース H24年8月
府中市立府中第八中学校校舎(16棟) RC 4F 1,769 制震ブレース H25年8月
シーアイマンション千種(N棟) RC 6F 2,673 在来 H24年2月
シーアイマンション千種(S棟) RC 6F 2,833 在来 H24年2月
十文字学園女子大学1B、2、4、5号棟 RC 3F 4,267 座屈拘束ブレース H24年8月
作新学院高等学校西館 RC 4F 2,854 制震ブレース H25年9月
船橋市立大穴小学校校舎 RC 4F 2,380 座屈拘束ブレース H25年11月
船橋市立法典小学校屋内運動場 S 1F 698 座屈拘束ブレース H25年8月
茂原市立二宮小学校屋内運動場 S 1F 786 座屈拘束ブレース H25年8月

特徴

  • デバイスの装置は外付、内付共に施工可能です。
  • 「居ながら」の「短工期」で「工事中の騒音、廃材縮減」等、環境に配慮しつつ、物件毎に適切な工法、デバイス、技術を選択し、調査から施工まで行います。

完成写真

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