機密情報の漏洩防止と電磁波シールドによる保護
機密情報の漏洩と電磁波シールドによる保護
近年、我々の日常生活においてテレビ、ラジオはもとより携帯電話など電波 (電磁波)の有効な利用は欠かせないものとなっています。また、エレクトロニクスの技術革新によりパソコン、テレビゲームなどのコンピュータを利用した電子機器も大変身近なものとなってきました。と同時に、これらの電子機器は高速の信号を利用しているため電磁波の影響を受け易く、またこれらの機器自身も電磁波を発生しています。電波の利用範囲が拡大するにつれて電磁環境が悪化し、これらの電磁波が互いに干渉したり、ある装置には有効なものでも他方の装置には障害となったりします。様々な原因で発生する不要電磁波もまた電磁環境を汚染しています。OA機器の普及による不要電磁波の増大に対し、機器における対策としてわが国でも規制を必要とするまでに至り、関係工業会は自主規制のためにVCCI協会を運営しています。
電磁環境の汚染に対して環境を確保するために、外部との電磁波の往来を遮断することがあります。このことを電磁波シールドと呼び、このような部屋や建物を電磁波シールドルーム、電磁波シールドビルと呼んでいます。
電磁波シールドの計画は、その目的と遮蔽する電磁波の周波数及び伝播経路の調査などによって決定します。
機密情報の漏洩
コンピュータからは、さまざまな信号が電磁波となって放射されています。この信号による断続的な電磁波は、1000m以上離れた場所から捕らえることができます。この電磁波を解析することによって、コンピュータの処理内容を盗聴することができます。
市販の電子機器の放射する電磁波の強度は、VCCIによって30m離れた位置で37dBμV/m (70μV/m)以下に規制されています。しかし、信号などの断続的な電磁波は、60dBμV/m(1000μV/m)以上の強度があります。これに必要な高感度のアンテナと信号増幅器および信号解析技術は、すでに開発されています。図は、情報処理装置から放射されている電磁波を解析し盗聴している様子です。
電磁波シールドによる機密情報の保護
コンピュータルームに60dB程度の電磁波シールドを行えば、コンピュータの放射する電磁波は減衰して30mの位置でも0dBμV/m(1μV/m)以下となるため、捕らえることが困難になり、機密の漏洩を防止することができます。図は、情報処理装置から放射されている電磁波をシールドし解析を不可能にしている様子です。